9月の概要:エージェント構築ツールの成熟と普及

2025年9月、OpenAIが3月にリリースしたAgents SDKとResponses APIがエンタープライズ環境で本格的に採用され始めています。「エージェントを構築する」ハードルが下がり、開発チームの関心は「何を作るか」から「いかに信頼性を確保するか」に移行しました。

OpenAI Agents SDKの主要機能と企業での活用

OpenAIのAgents SDKはマルチエージェントワークフローのオーケストレーションを簡素化するオープンソースフレームワークです。以下の4つの機能が企業での採用を促進しています(OpenAI, 2025):

企業事例:CoinbaseとBox

  • CoinbaseはAgents SDKを使い、AIエージェントが暗号資産ウォレットやオンチェーン活動と対話できる「AgentKit」をわずか数時間でプロトタイプ化して展開しました
  • Boxはウェブ検索とAgents SDKを組み合わせ、企業がBox内のデータと公共のインターネットソースから洞察を抽出するエージェントを数日で構築しました
ポイント

OpenAIはResponses APIをChat Completions APIの「スーパーセット」と位置づけ、エージェント構築の標準APIとしています。Assistants API は2026年半ばに廃止予定であり、企業は早期のResponses APIへの移行を検討すべきです(OpenAI, 2025)。

Responses APIの3つの内蔵ツール

  1. ウェブ検索——ChatGPT searchと同じモデルを使用、SimpleQAで90%の精度。ショッピングアシスタント、研究エージェント、旅行予約などに活用
  2. ファイル検索——RAGパイプラインを数行のコードで構築可能。メタデータフィルタリングとカスタム再ランク付けに対応
  3. コンピューター使用——CUA(Computer-Using Agent)モデルによるブラウザベースの作業自動化。レガシーシステムでのデータ入力やQAテストに活用

エージェント開発の民主化と課題

McKinseyのデータでは、従業員は経営層の想定する3倍の頻度で生成AIを使っています。しかし46%の企業が人材スキルギャップを主要障壁としており、Agents SDKのような低コードツールがこのギャップを埋める可能性があります(McKinsey, 2025)。

注意

エージェント開発の民主化は「シャドーエージェント」のリスクも生みます。IT部門の管理外でエージェントが構築・運用されることで、セキュリティやコンプライアンスの問題が発生する可能性があります。ガバナンスフレームワークの整備が急務です。

10月の注目ポイント

  • Gartner ITシンポジウム/Xpo 2025——AIエージェントに関する新たな予測データと実装ガイダンスの発表
  • コンピューター使用ツールのユースケース拡大——レガシーシステムとの連携におけるCUA活用事例
  • 日本のエンタープライズAI投資——第3四半期の投資動向データが公開