11月の概要:クラウド3社のエージェント基盤が出揃う
2025年11月、AWS re:InventでAmazon Bedrock AgentCoreが発表され、AWS・Google Cloud・Microsoftのクラウド3社すべてがエージェント構築基盤を整備しました。企業にとっての選択肢が明確になり、「どのプラットフォームでエージェントを構築するか」が実務レベルの意思決定項目になっています。
クラウド3社のエージェント基盤比較
Amazon Bedrock AgentCoreの注目機能
Amazon Bedrock AgentCoreは、オープンソースフレームワークやモデルを使用してAIエージェントを安全かつ大規模にデプロイ・運用するための基盤です(AWS, 2025)。
主な特徴:
- マルチエージェントコラボレーション——スーパーバイザーエージェントが複雑なプロセスを管理可能なステップに分解
- 検索拡張生成(RAG)——Knowledge Baseとの統合によるグラウンデッドな応答
- コード解釈——エージェントが動的にコードを生成・実行
- メモリ保持——セッションを跨いだコンテキストの維持
Google Cloudは6つのAIエージェントカテゴリを定義しています:カスタマーエージェント、従業員エージェント、クリエイティブエージェント、データエージェント、コードエージェント、セキュリティエージェント。自社のユースケースがどのカテゴリに該当するか整理することで、適切なプラットフォームと構成の選定が容易になります(Google Cloud, 2025)。
企業のプラットフォーム選定基準
既存クラウド環境を起点に選定
AWSメインならBedrock、GCPならVertex AI、AzureならCopilot Studioからの開始が最も低摩擦です。
マルチクラウドなら標準プロトコルを重視
A2A・MCPなどのオープン標準への対応度を評価し、ベンダーロックインを回避します。
業務アプリ連携の深さで差別化
Microsoft 365やDynamics 365との連携が必要ならMicrosoft、SAP等の連携が必要ならAWSの柔軟性を活用します。
Deloitteの調査では、パートナーシップを通じてエージェントを構築した企業は本番化確率が2倍です。クラウドベンダーの選定だけでなく、SIパートナーやコンサルティングファームとの協業体制を含めた「エコシステム設計」が本番化の鍵です(Deloitte, 2025)。
日本企業への影響
クラウド3社のエージェント基盤が出揃ったことで、日本企業のプラットフォーム選定が実務レベルの意思決定になりました。
- AWS利用企業:Bedrock AgentCoreの評価を开始し、既存AWSサービスとの統合度を検証
- Azure利用企業:Copilot StudioのMicrosoft 365・Dynamics 365連携を活用し、業務アプリとの統合から着手
- マルチクラウド環境:A2A・MCPなどのオープン標準対応を重視し、ベンダーロックインを回避
- SIパートナー選定:Deloitteが指摘する「パートナーシップ経由で本番化確率が2倍」を踏まえ、エコシステム全体での協業体制を構築
まとめ:2025年11月の3つのテイクアウェイ
- クラウド3社のエージェント基盤が完成——AWS・Google Cloud・Microsoftがそれぞれ特色あるマルチエージェント基盤を提供し、企業の選択肢が明確になりました。
- プラットフォーム選定は「既存クラウド環境×業務アプリ連携」で決まる——LLMの性能比較よりも、自社のクラウド環境と業務システムとの統合性が最優先の評価基準です。
- パートナーシップが本番化の鍵——内製にこだわるより、クラウドベンダーやSIパートナーとの協業が本番化確率を2倍にします(Deloitte, 2025)。
12月の注目ポイント
- 2025年のAIエージェント市場総括——年間の主要な技術進歩と市場成長のレビュー
- 2026年予測レポートの相次ぐ公開——Gartner、McKinsey、Deloitteの年間レポート
- 日本市場の2025年振り返り——国内企業のエージェント導入実績と2026年展望